うつ病とは

うつ病は、感情の変動が循環する疾患で、ストレスが引き金となって様々な症状を引き起こします。WHO(世界保健機関)によると、人口のおよそ3~5%がうつ病であると言われており、男性は10人に1人、女性は5人に1人が、一度はうつ病になります。うつ病と同じような症状が一時的に現れる「うつ状態」や、仕事などのストレス要因に対してのみ症状が現れる「新型うつ」といった言葉もありますが、細かい分類にこだわることよりも、日常生活や社会生活に支障が出ないように治療を進めていくことが重要です。初期のうつ病は身体を動かすことができますが、進行していくと通院が困難になるともあります。外出ができないような状態になる前に、早めにご相談にいらしていただければと思います。
うつ病の症状
身体の症状
- 倦怠感
- 食欲不振
- 不眠
- 頭痛
- 肩こり
- めまい
- 性欲減退
- 耳鳴り
- 口が渇く
- 胸の圧迫感
- みぞおちの不快感
- 吐き気
- 腹痛
- 便秘
- 下痢
- 腰痛
- 手足の痺れ
心の症状
- 憂鬱感
- 落ち込んだ気分が続く
- 涙もろくなる
- 寂しさを感じる
- 悲哀感
- 何にも興味が沸かない
- 喜びを感じられない
- 意欲低下
- 集中力低下
- 決断力の低下
- 自分がダメな人間だと思えてくる
うつ病は、常に同じ症状が出続けるわけではなく、朝は調子が悪く、夕方には元気になるようなことも珍しくありません。また、季節や年による周期もありますので、症状が出ていないことがあるからと言って「大丈夫だろう」と安心せずに、きちんと治療を受けるようにしましょう。
当クリニックのうつ病の治療

うつ病は、抗うつ剤を使ったお薬による治療が中心となりますが、時間をかけてじっくりと心のお悩みをお話しいただくために、当クリニックではカウンセリングルームを紹介させていただいております。また、仕事が原因となっている場合には、仕事の量や種類を調整する必要があることがほとんどですので、患者さまの利益をきちんと考えながら、診断書を作成する、上司の方にお話しするなどのサポートもさせていただくようにしています。(もちろん、第3者にお話しするのは、患者さまご本人の承諾があったときのみですのでご安心ください)
うつ病のメカニズムと抗うつ薬について
- うつ病は5大疾病の1つに数えられ(その他は「ガン」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」)、それだけうつ病にかかる方が多いということを意味しています。 神経と神経を結ぶ神経伝達物質の中で、特にセロトニンの減少により発症することが現在では明らかになっています。
- 新型の抗うつ薬は、この伝達物質が分解されること防ぐことで、その飽和度を保ち、伝達効率を保つような薬になっています。
うつ病の薬を使用する際の注意点

- 現在、抗うつ薬は、大きく分けると、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI、SNRI、NaSSAの五つのグループがあります。
- 特に新薬とされるものが、SSRI、SNRI、NaSSAであり、その有効性は、臨床効果が一定に高水準に安定しているとされます。
また、抗うつ薬では、多くても、二種類の上に分類したグループから、患者さまと相性が良い薬剤を選択する必要があります。
一時は、多剤を好む風潮がありましたが、現在では、それぞれ、目的とする効用が異なる二剤、できれば、有効度の極めて高い一剤の選択が求められます。 - 二剤の選択では、不安・緊張感を取り除くための一剤、意欲を高めるための一剤を選ぶことが重要となります。
ただ、心療内科では、他の身体科のように、検査をして、事前に薬の相性を特定することは、不可能であり、患者さまの症状・発病に至ったストレス起因、臨床医の過去の経験・知識から、推定し、用い始めることが多いといえます。
このため、治療当初は、薬の選択のため、一定期間、相性のチェックをする必要があります。 - ここで、患者さま側からみると、薬が変わることの不安感が生じる可能性があります。
心療内科医は、薬の切り替えについて、説明をいたしますが、不明=不安を少なくするためにも、切り替わるときの疑問点があったら、心療内科医に率直に質問をしていただければと考えます。 - また、抗うつ薬は、治療のための薬です。
維持治療する段階では、一ヶ月から長いと、二ヶ月ぐらいの薬が浸透し、治癒に向かうための時間が必要です。 - 患者さまにおかれては、当然質問をしていただきながらも、ある程度の効果が出るまで、じっくり待っていただく必要が出てきます。
- 例えば、抗不安薬というジャンルの薬があります。
一時的に症状を和らげる薬です。
抗不安薬は、治療薬ではなく、飲むことをやめれば、すぐ、又、症状が出てしまいます。 - ただし、効いた実感だけは、あるかもしれません。抗不安薬の使用をいけないことと言っている訳ではありませんが、薬を止めても症状が出ない、治療薬である、抗うつ薬を定期的に、臨床医と相談し、決められた一日用量・回数を守って、服薬いただくことが大変重要です。
- Q うつ病じゃないです、あなたは大丈夫ですという場合には?
-
A
めぼしい症状に対して、暫定的にであったとしても、何かしらの病名は付けます。患者さまの症状などから暫定的に疑わしい病名を付け、経過を診断しながら、要素を取り除いていくという方法で治療を進めていきます。
「病み期」という言葉が使われることがあります。
- Q このような調子が悪い時期にも受診したほうがいいですか?
-
A不安障害の状態には入っていないと思います。負の連鎖が起こっただけなので、診療に来ていただいた場合には、抗不安薬を短期的に投与しますかね。投薬をするといっても、基本的には副作用はないと考えていいです。もし現れるとしたら、軽い眠気くらいでしょうか。